ブリアンデ 天野カナエ KANAE BRIANDET
2000年に渡仏。パリのブランドのビジューデザイナーを経て、2009年から画家、池平徹兵とのコラボレーション、OFFICE BACTERIAをスタート。2016年からKANAE BRIANDETとしてフランス国内外で作品を発表。
2022年サロンデボザールにて銀賞受賞。
フランスの工芸家組合Atelier d’Art de France 会員。
お気に入り
部屋の中でお気に入りの場所を教えていただきました。
家中のどこにいても居心地が良いと感じるように家具を配置しました。元々、インテリアデザイナーが住んでいた家だったので細部があちこち凝っているのですが、その中でもモロッコ風のバスルームが気に入っていて、特にアンテイークのモロッコの木製のドアが好きです。
ブリアンデ モモ。制作中は参加したり見守っていたりしてくれます。モモのまどろむ場所によってその日の気温が分かります。画像の窓際はお気に入りの場所で、ここで鳥や時々来るイタチを観察するのが日課です。
キッチンの収納も見せていただきました。
食器ではないのですが、気がつくとスパイスがコレクションになっていたのでスパイスの収納です。ここにも置けないほどスパイスが引き出しの中にまだまだ沢山あります。きっとレバノン料理やその他の中東料理に夫とハマってしまったのが原因だからだと思います。
日本ではなかなか見慣れない形のキッチン。まるでお店のようなおしゃれなつくりです。
GODINを使っています。玄関を開けると目の前がキッチンという面白い構造になっていて、カウンターバーや重厚なカーテンもあるので来客からはレストランバーに来たのかと勘違いされます。ここで最初にバーテンダーを装いながら皆にカクテルとアペリティフを振る舞う事から夜が始まります。
お気に入りの食器コレクションを見せていただきました。
作家仲間である陶芸家MAËLENNの作品です。作品から彼女が見た景色が伝わってきます。色のニュアンスが好きです。
Q&A
20代のときのこと、暮らしのこと。
Q1. 現在、どんなお仕事をされていますか?
ビジューと布の彫刻の作品制作をしています。
仕事の一コマ
家の小さな一角が私のアトリエです。
作品
画像のパリュールの作品2点の様に、自然やフォークロアからインスパイアされた作品が多いのですが、ブルーの作品、La vague は北斎の波から、ピンクの作品、KOÏ は日本の民芸、吊るし雛やキルトからインスピレーションを得ました。作品制作で重要なのが、色のコンビネーションで、天然石とガラスビーズを取り入れて刺繍で表現します。色を身につけることは人間にとってとても大事なことだと思います。そして日本の素材、特にシルクを好んで使用しており、同じ素材で生のままの繭と職人の技で作られた組紐を取り入れた作品が多いのですが、それは忘れ去られていく素材や伝統工芸を、私なりに次世代に繋ぐ一環として何か出来ないだろうかと考えた末に出来たコンセプトでもあります。繭は富岡産を使用していますが、富岡製糸場もフランスと深い繋がりがあります。ブランドのもう一つのコンセプトは、アートとして身につけられるビジュー、彫刻でもあり壁に飾ることの出来るビジューです。彫刻とビジューを2点で一つとして展示する事もありますが、常に双方が共鳴する様に制作しています。
Q2. 社会に出たばかりのころは何をしていましたか?どんなことを考えていましたか?
社会人一年目の年に上京し、服飾デザイナーを目指してサンプル会社で縫製を学ぼうと入社しましたが、幼少の頃からの夢だった渡仏を諦めきれずそれに向けて資金作りの為に退社し、アルバイトで朝から晩まで働いていました。
Q3. そのときと今、どんな風に考え方が変わりましたか?
渡仏したのが2000年で、最初の3年間が自分にとって激動の日々でした。今思えばその時から自分の中の全てが変わりました。物の見方が変わり、堂々と意見も言えるようになりましたし戦えるようにもなりました。小さい頃から極度の恥ずかしがり屋と自信喪失感が拭いきれず、自分を表現する事が出来ないのは物を作る仕事を志していた私にとってハンデとなっていましたが、今では様々な場所で自分が出来るまで作品を発表したいと思えるまでになりました。自信とチャレンジ精神を養えたのは私の中での大きな変化です。フランスの国から人生を学びました。
Q4. 初めての一人暮らしにおすすめのマルヒロの食器はありますか?
一人暮らしならきっと洗い物を少なくするために一皿で何でも済ませたくなると思うので、いろはの中皿が適度な大きさと2.8cmの深さもあるので便利だと思います。
Q5. とある日の食卓を見せて下さい!
朝ごはん:テラスにて。メニュー ヴェノワズリー各種、ピンクグレープフルーツとマンゴスチンのサラダ(マルヒロたたら小鉢使用)、フェセル(フレッシュチーズ)のブルーベリージャムがけ、ウフアラコック(半熟卵)、コーヒー、オレンジジュース。
昼ごはん:メニュー スマックスパイスを利かせたトマトメリメロサラダ、白アスパラガスとわさびのクリームスープ、そば粉パスタのロブロションチーズグラタン(マルヒロ青白磁、平鉢大使用)、フランボワーズジュース。
夜ごはん:メニュー ブッフブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)とジャガイモとパセリのバターソテー、ビーツとヤギのフレッシュチーズのサラダ、チーズ各種、バゲット、メレンゲレモンタルト、ワイン。
ブッフブルギニョンは夫の得意料理でフランスの伝統料理です。夫がメインを料理する日は、私はその他のサラダと添え物、デザートを担当します。
Q6. ブリアンデさんの偏愛インテリアを教えて下さい。
一つは、義祖父のデザインしたリビングにある大テーブル。シンプルでしかも長さが2.5mで幅が73cmと無駄がなく、最高に使い勝手が良くて気に入っています。真正面の絵は、夫が7歳の時に描いた絵を彼の叔母がタペストリーにしたものです。右側に夫の当時の絵を飾ってあります。夫は研究者ですが、アーチストが多い一家だからか、本人も小さな頃は絵を描くのが好きだったそうです。
もう一つは、故 藤江孝さんの作業台。藤江さんは彫刻家で、故 小澤征爾さんの親友でもありました。同じく小さな藤江さんの彫刻と共に家のインテリアになっています。好きな友人や家族の作品に囲まれた空間を愛おしく感じます。そして完璧なものより多少いびつな物の方が好きです。
Q7. 日々の暮らしに欠かせない音楽はありますか?
朝仕事をするには、ピアノの音が体にビタミンを取り入れたように染み渡っていくのが好きで聴いています。特に印象主義のサティやラベル、ドビュッシーなどの曲はアイデアを考えている時に情景を想像できるので気に入っています。ちなみに集中している時には音楽はかけません。
Q8. 日々の暮らしに欠かせない香りはありますか?
サンタマリアノベラのTerracotta Melogranoです。インテリアとしても気に入ってますし、ザクロの香りが好きです。他にはベルガモットとトマトの葉の匂いが大好きです。これらの香りに包まれていると、体中の細胞が喜んでいるような感覚に浸ります。こう見てみるとやっぱり幼少時代の思い出で選んでますね。
日本の香も炊きます。
Q9. 休みの日に観たい映画を教えて下さい。
映画は選べません。。が、休みの日やヴァカンス中に家族で観るのなら、キャサリンヘップバーンのBringing up Baby やフランス映画のDonne moi des ailes が好きです。ヴェスアンダーソンの作品も大好きです。
Q10. とある日の生活を教えて下さい。
Q11. 次のゲストを教えて下さい!
若山和子ちゃん。カンヌ映画祭の唯一の日本人フォトグラファーでもあり、谷中のカフェ、写真館のオーナーでもある和子ちゃんはバイタリティがあってチャレンジ精神のある素晴らしい人です。
Recipe
クリストフ・ミシャラックのフラン
お料理初心者でも大丈夫!ブリアンデさんにレシピを教えていただきました。
フランスの伝統菓子のフランのレシピです。大人から子供まで幅広く家庭で食べられているお菓子で、今回はフランス人のパティシエ、クリストフ・ミシャラックのレシピを紹介したいと思います。フランスのパティシエの味を手軽に家庭で味わえます。
材料
- 牛乳 250g
- 生クリーム 250g
- バニラ 1本
- 卵 3個
- 砂糖 80g
- コーンスターチ 30g
作り方
- まず、鍋に牛乳と生クリームとバニラを入れ(縦に切り込みを入れてさやを開き、中身のビーンズも少し削って入れます。)、沸騰させます。火を止めて15分間そのままにしておきます。私はこの後、バニラの鞘は取り出し、中身のビーンズはさらに削り鍋に入れます。
- ボールに卵と砂糖とコーンスターチを入れて1分程かき混ぜます。オーブンを190度に設定してスイッチを入れます。
- 鍋にボールでかき混ぜた種を入れ、沸騰させながら1分間強くかき混ぜます。火を止めミキサーでかき混ぜます。なければ手動で頑張りましょう。バターで塗り、コーンスターチを振った直径16センチのケーキ型に入れます。(コーンスターチはあまりかけすぎないのがおすすめです。)
- 型に入れた後、1時間置いてから190度に熱したオーブンに入れ40分程焼きます。
- オーブンから出した後、30分冷ましてから冷蔵庫に入れ、さらに1時間冷やして型から外して出来上がり。