池平徹兵|Teppei Ikehila
現代美術家
1978年、福岡県に生まれる。島根大学教育学部保健体育専修在学中より画家として活動。
国内での個展多数。海外のアートフェアにも多数参加。2013 年、第16回岡本太郎現代芸術賞展入選。オペラシティアートギャラリー「project N」。2017年、VOCA展選出。小学校や福祉施設でのワークショップ形式による作品制作、東京大学駒場博物館特別展のインストラクター、2023年、パークホテル東京のアーティストルーム制作、日本テレビ「THE ART HOUSE #34」出演、東大和市「貯水池鳥山」でオープンアトリエを開始するなど多岐に活動。
その瞬間に制作意欲が最も湧くもの、最も塗りたい色だけを日々キャンバスの中に加えていくという方法で、全てのモチーフを本当に描きたい気持ちで描くことを追求している。
Instagram:@teppeiikehila
お気に入り
部屋の中でお気に入りの場所を教えていただきました。
部屋もお庭も全ての場所をお気に入りに感じることを目指しています。 本気で掃除をするとほとんどの場所はお気に入りになります。
庭づくりが大好きです。 日本庭園は全ての地面がお気に入りの地面になっていて苔や石の一粒一粒まで 大切に可愛がっています。
そこに様々な野鳥や動物がやって来ます。
キッチンを見せていただきました。
備え付けの食器棚を挟んでキッチンとピアノがあります。 そのおかげで食器たちも楽器に見えます。 光が通過するものが好きで食器は透明のものを多く使っています。
お気に入りの食器コレクションを見せていただきました。
千利休の器「長次郎」を僕が模写したものです。 紙粘土で形を作って表面を絵の具で細かく模写しました。 この器で大切なことは、ただの石や地面の佇まいに近づくことだと気がつきました。
人としてもそういうものになりたいと思いました。
Q&A
20代のときのこと、暮らしのこと。
Q1. 現在、どんなお仕事をされていますか?
画家・現代美術家です。その日に最も描きたいものを加えていくという方法で絵を描いて、自然界の景色のようにキャンバスの隅々までが大切な部分になる絵を描いています。
その世界を絵の外へも広げて、床や壁、天井まで空間の隅々までが大切な箇所になる 作品も制作しています。
近作では、自分でコントロールできない景色も大切に思えるようになりたいと「現代 借景」のシリーズを発表しました。
仕事の様子
自宅の近くにある料亭「貯水池鳥山」の中にアトリエがあります。コロナ禍で使わなくなった大広間を改装してアトリエとして使わせて頂いてい ます。ここにいると感覚が澄んで、世界の隅々までに意識が行き渡るようになります。
アトリエは僕のいない時も常に一般解放しています
僕は留守にしていることも多いですが、野生動物の巣を観察するように本人を見れたらラッキーくらいの感じでぜひご来場ください。
「池平徹兵 オープンアトリエ」
場所:貯水池鳥山
HP:http://toriyama1.web.fc2.com
Instagram:@chosuichi_toriyama
※貯水池鳥山営業日の11:30~18:00一般開放しています(木曜定休)
※貯水池鳥山受付にてワンドリンク先オーダー制にてご入館頂けます。貯水池鳥山とRENOCAMP TORIYAMAにてお食事をされた方は無料です。
Q2. 社会に出たばかりのころは何をしていましたか?どんなことを考えていましたか?
島根大学3年生の頃、島根県立美術館での初個展を開きました。作品が完売して、2年先まで予約が埋まりました。とても嬉しかったのですが、同じものを何度も描くと描きたい気持ちが減って行き、描くのがつらくなることが分かりました。ただ「画家になりたい」から「どういう画家になりたいのか」に気づきました。その頃は ”正解を選ぶ力” を磨いて究極に美しい線を引こうと考えていました。
Q3. そのときと今、どんな風に考え方が変わりましたか?
今は何色を使っても、何を描いても、何をしても、誰が描いたものでも、自分の作品になることを目指しています。
“選んだものを正解にする力” を磨くようになりました。
Q4. 初めての一人暮らしにおすすめのマルヒロの食器はありますか?
HASAMI SEASON01 ブロックマグビッグ
以前からHasamiのマグカップを使っています。 割れるたびに同じものを購入して今使っているのは3代目です。 一生使いたいものを選ぶことが大切だと思います。
いつか結婚する相手は本当に1人しか選べません。 その力を磨く練習としても全てのものを結婚するつもりで選んでみてほしいです。 次に、他の誰のところへ行くよりも、絶対に自分のところへ来て良かったのだと自信を持てるくらい大切にします。
これはいつか子どもが出来た時の練習です。
Q5. とある日の食卓を見せて下さい!
朝ごはん:しじみの味噌汁/しらすご飯
一緒に並んでいる貝殻は島根県宍道湖で拾ったしじみの貝殻です。波に洗われると黒色が剥がれてこんなにきれいなオレンジ色になります。
朝ごはん(うさぎ):ラビットフード
昼ごはん:妻が作ったグラタン
お義母さんから妻が習ったグラタンです。
おやつ:水のゼリー
オープンアトリエのある貯水池鳥山でご飯やコーヒーに使っている湧水をゼリーにしてもらったものです。
水の味しかしません。アトリエではこれを美味しいと感じられるくらいに感覚が澄んでいます。この感覚を来場者にも体感してもらうことをこの空間の目標にしています。
夜ごはん:牡蠣
ある日、牡蠣に垂らしていた醤油をなしで食べてみたら、全然そのままで美味しいことが分かりました。彼らはただ生きているだけでもう美味しいのです。より美味しくする力もないのに調理すると台無しです。ワークショップで参加者と作品を作るとき、いつも同じことを感じます。
夜ごはん(猫):ねこのエサ
ここに引っ越す前の家から庭に遊びに来る猫です。引っ越してもちゃんとついてきました。
Q6. 池平さんの偏愛インテリアを教えて下さい。
今日まで生きてきた中で最高のどんぐりです。 色も形も艶もこれ以上にはもう一生出会えないと一目で分かる究極の一粒です。
Q7. 日々の暮らしに欠かせない音楽はありますか?
欠かせないほどの音楽はありません。
反対に音のない時間は欠かせません。本気で絵を描いていると音は何も聞こえなくなります。この状態へ行けることがとても重要なことだと思います。そしてこの状態の中でも鳴っていられるのが僕を紹介してくれた立石剛くんの音楽です。
https://www.youtube.com/@channelonsa
Q8. 日々の暮らしに欠かせない香りはありますか?
牛乳石鹸が欠かせません。水泳部の頃から少しでも早く泳ぐために牛乳石鹸で体を洗っています。牛乳石鹸で体を洗うと体がとても水を弾くからです。僕にとって作品制作は試合と同じです。牛乳石鹸の香りがいつも僕をスタート台に立たせてくれます。
お風呂は石造りで小さなお庭がついています。石の床に立つと、森の中に立っているのとほぼ同じ感覚になります。
Q9. 休みの日に観たい映画を教えて下さい。
「僕が一番観たい景色はこれから描く絵の中にある。」と僕が言うと妻に寂しい人だと言われました。寂しい人にはなりたくないのでこういう時の良い答えを探しています。でもやっぱり僕が一番観たい景色はいつもこれから自分が描く絵の中にあります。制作中の絵を少しでも早く進めて先が観たい気持ちでいつもいっぱいです。
Q10. とある日の生活を教えて下さい。
Q11. 次のゲストを教えて下さい!
ブリアンデ・カナエ
アクセサリーブランド「OFFICE BACTERIA」を一緒に制作しています。僕が 好きなパーツに自由に絵を描いてパリ在住のカナエに送り、カナエがそれを自由に料理して送り返してきます。完璧にお互いのセンスを信頼していて打ち合わせはしません。
2008年にカナエとOFFICE BACTERIAを立ち上げる前は人のセンスを信頼していなくて全部自分で決めるアーティストでした。それが今では多くの人の表現を信頼し沢山の人の表現を必要とする作品を作っています。その最初の一歩となったのがカナエとのコラボレーションだったと思います。
Instagram:@officebacteria/@kanaebriandet
Recipe
しらすご飯としじみ汁
お料理初心者でも大丈夫!池平さんにレシピを教えていただきました。
材料
・しらす
・生姜
・しじみ
・醤油
・味噌
・ごはん
作り方
- ごはんにしらすを乗せます。
- 生姜をすりおろして乗せます。
- 醤油をかけます。
- しじみを鍋に入れて貝が開くまで火にかけます。
- 貝が開いたら味噌を溶かします。
- まずは、しらすご飯を口に入れて生姜としらすの相性を楽しみます。
- それを全部飲み込み終わる直前で追いかけるようにしじみ汁を飲みます。
- それらが喉を通りすぎる瞬間がこのお料理の最高到達点です。